偽りの仮面 第9話

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※注意&お詫び※
<偽りの仮面>8話と9話の間の話を削除したらしく、話が前回から少し飛んでいます。
(4ヶ月前に書いたので、何を消したのかは覚えてません)

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トウキョウ政庁のシステムを停止させた原因は、堂々とその場にあった。
それがどういう経緯で入って来たものか、誰もが知っているだろう物体。

「トロイの木馬か、してやられたな」

ようやく落ち着きを取り戻した政庁の執務室でコーネリアは不愉快げに言った。
ゼロたちが残していったKMF。
紅蓮を始めとした3機は、どれも遠目から見れば、いや、良く知ったものが見なければ解らない偽物で、外側だけのハリボテの機体だった。こちらの攻撃に怯み黒の騎士団は撤退したと思ったのだが、蓋を開けてみればこのトロイの木馬を持って帰らせる為の演技だったのだ。

”騎士団が戦闘のために持ってきた機体を、起動前に抑えた”

押収したKMFを運んだ軍人も、技術者たちも、それを見ていた者たちも、コーネリアでさえ疑わなかった。
だから、安易に開いてしまったのだ。
偽りのKMFを。
トロイの木馬を。


外側だけのKMF。
それは政庁地下にある軍事研究施設に運び込まれていた。
サザーランドを改造したKMFを初めて目にした技術員は、完全に無反応なこの機体は、起動のための鍵か信号、あるいはそれに準じる物が無ければ、電源系統は停止したままになるのではと結論を出していた。コックピットには外部からも開閉出来るように回転式のスイッチが用意されているが、予備電力も全て停止しているせいかロックがかかっていた。そこで、緊急用の外部電力に電源コードを差し込み、外部から起動命令を送ることで強制的に起動させる方法を取った。電源を差し込み暫くすると、電力供給の色が青く点灯した。そして起動命令に従い外部の開閉スイッチのロックも外れる。
ようやくかと、開閉スイッチが回された瞬間、辺りは暗闇になった。 照明が切れただけでは無い、政庁内の電気系統が全てマヒしたのだ。
そう、この偽りのKMFはトウキョウ政庁をマヒさせるための装置だったのだ。
その効果は1台でも十分な物だったのだが、この時は運悪くというべきか、3騎にコードが差し込まれていた。開閉スイッチは3騎共に連動しており、3台の装置が同時に起動したのだ。

中に入っていた機械は、とても原始的な装置。
ただ、電気系統に強力な負荷をかけるためだけの物だった。
どこででも手に入る道具や、いまだゲットーに打ち捨てられいる旧時代の遺物を用いて作ることのできる装置だっため、材料を調達した方法とその購入者をさえ見つける事は不可能だった。
負荷に耐えきれずショートし焼き切れたブレーカーの修理が終わるまで、エリア11の心臓とも言えるトウキョウ政庁は、予備電力だけで過ごすことになった。
負荷に耐えきれなかったのはブレーカーだけではなく、照明や電子機器の大半を交換する必要があり、政庁の職員全員が駆り出され業者とともに復旧作業を行った。その甲斐もあり、想定よりも早くに全ての復旧が完了した。

「被害は甚大でしたが、幸いなことに軍がすぐに駆け付け、黒の騎士団が奇襲をかけてくる事は防げました」

政庁がマヒした瞬間に攻め込むつもりだったのだろう。
黒の騎士団が集結していたが、思いのほか早くに立ち直ったブリタニア軍を見て、即撤退していった。
停電後、政庁内から出たものは多いが、入った物は修理業者だけ。
政庁内のデータも護る事が出来、最悪の事態は免れたとコーネリアは安堵した。

だが、コーネリアはこの時失念していた。
今回のように外部から強制起動させるためには、KMFと起動命令を行う端末を接続する必要があることを。このKMFの起動も同じで、技術員が使用していた端末と接続していた。厳重なセキュリティがかけられているとは言え、政庁内に通じる端末と繋がったのだ。
ゼロの目的は、トウキョウ政庁の一時麻痺などではない。
もっと深刻な毒をその最深部に送り込むことだった。
そのことを悟らせないために、電気系統を破壊したに過ぎない。
毒を送り込んだKMFの装置ごと、全ては闇の中へと消えていった。
こうしてゼロの思惑通り、悪質なコンピューターウイルスが政庁内のシステムに入り込んだことに、誰も気づいていなかった。


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補足?

偽のKMFはエナジーフィラーは搭載されておらず、予備電力0でしたが、まさか戦闘に来たKMFがエナジー0で起動できない状態だとは思わなかったため、技術員は電力回復することしか考えてませんでした。

開閉スイッチは、亡国の時にも出てた丸いひねって回すやつ(語彙力ほしい)イメージはガスコンロの点火ツマミみたいなアレです。名前がわかりません。エヴァでエントリープラグから綾波が救出された時にシンジとゲンドウが回したみたいなやつです。

普通に考えれば、緊急時は電気系統死んでる可能性があるから、緊急開閉スイッチにロックなんてかからないんですが、自爆特攻やハラキリ文化のイレブンならやりかねないという偏見で科学者達はそう結論づけてます。当然ご都合主義なこじつけです。

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